スイス北部アールガウ州で、重度の障がいを持つ娘(3)を殺害したとして、地方裁判所は13日、両親を故意の殺人罪・殺人未遂罪でそれぞれ禁錮8年の実刑判決を言い渡した。
このコンテンツが公開されたのは、
判決によると、いずれもドイツ国籍の女(32)とパートナーの男(34)は2020年5月6日、3歳の娘に合成麻薬MDMA(エクスタシー)を飲ませ、気道を塞いで窒息死させた。
男は薬物を調達した麻薬取締法違反で条件付き罰金刑も言い渡された。
また2人は2019年10月にも、この女児に睡眠薬を大量に飲ませ殺害しようとした。地裁はこの男女にそれぞれ10年間の国外追放を命じた。
女児は生まれたときから重度の脳障害を患い、一生、24時間の集中ケアが必要な状態だった。
両親は、女児の激しい痛み、けいれん、麻痺などの症状が悪化しており、苦痛を取り除いてやりたいという愛情から犯行に及んだと主張。弁護人は、殺人罪ではなく過失致死罪が適当とし、禁錮3年を求めていた。また被告は大きな精神的ストレス下にあったと主張した。
検察側は、女児の病状が改善する機会はあったと主張。女児の存在が邪魔になったという理由で犯行に及んだとし、極めて利己的だとして禁錮18年を求刑していた。
地裁は両親が重度の障がいを持つ女児のために最善を尽くし、両親が抱えていた絶望、苛立ち、怒りは理解できるとした一方で、さらなる支援を受け入れず、命を奪う行為に及んだことは許容し難いと述べた。
祖母は無罪
共謀罪に問われた女児の祖母(52)は無罪判決を受けた。地裁は、祖母が娘夫婦の犯行を止めなかったとした一方で「それは道徳的な関連性であって、刑事的な関連性ではない」と、刑事罰に問うには十分ではないとした。
英語からの翻訳・編集:宇田薫
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
おすすめの記事
ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
このコンテンツが公開されたのは、
米ヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、スイスでの人員削減を計画している。
もっと読む ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
おすすめの記事
「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
このコンテンツが公開されたのは、
スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。
もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
おすすめの記事
スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
このコンテンツが公開されたのは、
スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。
もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
おすすめの記事
ユングフラウヨッホ、2024年の来場者が100万人を突破
このコンテンツが公開されたのは、
ユングフラウ鉄道グループは、ユングフラウヨッホの2024年の来場者が105万8600人となり、2015年以来6度目の100万人の大台を超えたと発表した。
もっと読む ユングフラウヨッホ、2024年の来場者が100万人を突破
おすすめの記事
2024年のスイスの企業倒産件数、過去最高に
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは2024年の企業倒産件数が過去最高を記録した。
もっと読む 2024年のスイスの企業倒産件数、過去最高に
おすすめの記事
国民投票に向けた署名がまたも偽造
このコンテンツが公開されたのは、
医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。
もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造
おすすめの記事
スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
このコンテンツが公開されたのは、
1964年東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったスイス人柔道家のエリック・ヘンニ(Eric Hänni)さんが25日、86歳で死亡した。スイス柔道・柔術協会が発表した。
もっと読む スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
続きを読む
おすすめの記事
家庭内殺人事件の被害者、高齢女性が目立つ スイス
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、殺人事件の被害者の少なくとも5人に1人が退職年齢を超えた人だ。家庭内殺人の主な被害者は高齢女性でもある。社会が高齢カップルに対して抱く平和なイメージとは程遠い。
もっと読む 家庭内殺人事件の被害者、高齢女性が目立つ スイス
おすすめの記事
男児刺殺の75歳女を殺人罪で起訴
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部バーゼルの路上で今年3月、下校途中の小学生男児(7)がナイフで刺され死亡した事件で、バーゼル市検察庁は75歳の女を殺人罪で起訴した。
もっと読む 男児刺殺の75歳女を殺人罪で起訴
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。